2017年4月22日土曜日

「神楽坂とアジアの動態的保全」神楽坂まちづくり住まいづくり塾

4/7 神楽坂まちづくり住まいづくり塾
「今あらためて!神楽坂まちづくりシリーズ第5回」が開催されました。
「神楽坂とアジアの動態的保全」
講師:東京大学教授窪田亜矢さん
プレゼンテーション
■神楽坂での動態的保全の経緯
・神楽坂のまちづくりは凍結的に魅力を決め切らず、常に新しい方向を模索し、社会に「こんな取り組み方がある」という姿勢をみせてきた。具体的には保全しながら変化していく動態的保全が行われてきた。
・たとえば、景観が壊れる懸念から建設反対をしてきたマンションも建設された後には、受け入れ方策を検討し、その結果、新規居住者がまちづくりに参加していく流れがある。
■バンコクでの動態的保全事例
・1980年頃のまちづくりは開発による居住者移転が発生し、コミュニティ崩壊が伴うものであった。観光も視野に入れながら界隈の事業者が追い出されない保存・開発のプランニングを大学関係者と地元が一緒になって練り上げた。
・一つの例として、川沿いの市場周辺地区では、博物館建設や緑地整備の計画が立ち上がったが、火事の見回り等を行っていた住民組織と大学関係者が、丁寧な空間調査や意向把握を行った結果、行政のプランも市場を残した動態的保全の方向にシフトし、オリジナルな価値を残し、人々が住みながらインフラや動線を確保する整備計画が立案された。
・他の地区でも、住民が地域の歴史やコミュニティにポテンシャルを感じ始め、大学関係者が調査を行い、イベントを仕掛けるなどして、水場づくりや古建築の修繕、宗教施設の開放等が行われている。
【意見交換】
・アジア諸国の経済レベルは上がっており、歴史的地区を生かした動態的保全によるまちづくりが横並びで行われていけば、アジア全体という視点で捉えても多様性のある魅力が獲得されていくのではないか。
・動態的保全により良好な地域が形成されれば不動産価値が上昇し、住民の意向とは別に商業的な観点から改変されていくことにはならないか。
-住民で維持できないものも出始めている。難しい問題であるが住民が住んでいることがアジア大都市の賑わい地区においては根底の魅力を形成するものであり、住民主体であることを維持し続けることが重要。
・生活環境や宗教を保全することで異質な文化が隣接する状況が形成されている。互いのコミュニティ維持はどのようにおこなわれているのか。
-特に宗教に関しては、過干渉ではなく、むしろ無関心だったと理解している。それがお互いを尊重しようという機運が生まれたのが、先の事例だと思う。
-神楽坂では旧住民・新住民という構図があるが、7~8年前まではコミュニティは存在しなかったが、最近はNPOを通じてまちづくりに関わる人が増え始めている。
-建物的にも路地にオープンな店が増え始めており、違う文化が混在し始めている。
・バンコクでの動態的保全活動のきっかけは。また、最終的にどこに向かおうとしているのか
-きっかけはかつての開発によりコミュニティが崩壊するという痛い目をみたこと。最終的な方向性は一つではなく、たとえば経済的活性化を考えている人もいるだろうし、文化財的保存を考えている人もいるかもしれない。総じて今の状況を良しとしているのではないか。
・大きく変わっていこうとしている神楽坂に対抗するためには、まちの声を大きくしていく必要がある。改変の圧力に大きく負けてしまうと取り戻すことが不可能になる。「住民が参加すると保全型になる」という言葉がキーワード
-動態的保全はウォッチするだけでもすごく手がかかる。住民不在では開発か凍結型保全の2択になる。
・神楽坂では住民意識と民間企業(保全・開発)のバランスをどうとっているのか。
-前までは住民は街並みなどにあまり意識はなく、外部の人の方が意識していた。そういった店が増え「神楽坂はいいね」という声を聴いて住民も意識しだした。今はいいバランス。
・住宅地での動態的保全はどう考えていけばよいか。
-木造密集地域という側面もあり難しい。大規模な再開発的な整備には注意が必要。
・動態的保全するにも稼いでいかないと何もできない。経済活動的には開発・保全のバランスが必要。
・金沢では主計町など歴史的なまちで過疎的な状況が発生している。前市長による施策が良好であったため、まかせすぎた反動が今、起こっている。地域コミュニティ主体によるまちづくりが重要。



2017年4月10日月曜日

大久保通り拡幅に伴う店舗解体 神楽坂上交差点

大久保通り拡幅に関連し、神楽坂上交差点に面した数店舗の解体除却工事がほぼ終了しました。従前と比べると違いがよくわかります。また、これから解体が想定される建物もあり(時期は未定)、広い道路で神楽坂が分断されることが危惧されます。都市計画道路空間が広がることは諸事情よりやむを得ないとしても、自動車のためではなく、人のための空間の使い方が必要ではないでしょうか。

従前の状況。河合陶器店、山下漆器店、牛タン圭介があっ

店舗が解体され、空き地になろうとしている。街の中心の交差点に面して
無粋な空き地ができてしまう。

現状幅員18mに対し、拡幅後は30mに。広がる空間を自動車だけのために
使うことが本当に正しいのでしょうか?