一方、道路整備にはこれから非常に長期間を要し(現在の用地取得率は10%)、その間は道路予定地は金網囲いの空き地とされること(区の協力があれば有効活用の可能性あり)、道路整備と沿道地区まちづくりがまったくリンクしていないことなどは報じられませんでした。
放送では、大久保通り整備の理由として、都の回答として「都心部の道路通行の円滑化」が挙げられていましたが、都心主要道路の通行量も近年は横ばいか漸減傾向にあります(下図)。自動車通行のための道路整備は既に大義を失っているのに、都市計画決定済みだから、事業認可されたからという理由で、時代が変化しているのに省みることなく進められています。しかも都市計画決定されているのは全体幅員のみで、その内訳、すなわち道路空間の使い方~歩道や車道の配分など~は事業計画変更で可能なのです。将来の人々に恥ずかしくない公共資産として、道路空間の整備や使い方を見直すべきと考えます。
放射25号線で、後楽園方面から神楽坂近くに至る整備、開通済み部分は、人も車もまばらな状況です。少数の通過交通に快適なだけで、地域を分断しています。これが21世紀の東京のあるべき姿とは、とても思えません。
新宿区はS63(1988)、神楽坂地区を「まちづくり推進地区」に指定しました。H3(1991)には「神楽坂地区まちづくりの会」が発足し、翌H4(1992 )には同会によって「神楽坂地区まちづくり推進計画」が策定されました。
その後、まちづくり組織としてH15(2003)には「NPO粋なまちづくり倶楽部」、翌H16(2004)には「神楽坂まちづくり興隆会」が発足し、新宿区と共に神楽坂地区のまちづくりを推進して来ました。実に30年間に亘るまちづくりの歴史が神楽坂にはあります。